画像や映像を高速・高精度に検索

放送映像アーカイブから知識発見も

佐藤 真一

コンテンツ科学研究系

教授

研究分野

画像・映像検索

画像・映像意味解析

映像アーカイブ解析

研究背景・目的

 テレビ放送やケーブルテレビだけでなく、インターネット上やSNS上などでも視聴しうる画像・映像情報は増加の一途をたどっており、私たちは日々これらから有用な情報を得ています。必要な画像・映像情報を得るためには検索技術が重要な役割を担いますが、その実現のためには、画像・映像の意味内容の解析が必要不可欠です。また、大量の画像・映像から所望の情報を得るためには、効率の良い検索アルゴリズムの検討も重要です。さらに、人の検索の意図をうまくくみ取れるような柔軟な画像検索技術も必要となってきます。そして、こうした技術の応用として、大規模な画像・映像アーカイブから知識を発見するような技術の検討も重要です。

研究内容

 私たちは、高速・高精度の画像検索の基本となる技術を開発し、通常のPCで、100万枚の画像から0.5秒で物体検索が可能なアルゴリズムを実現しています。また、これに基づき、物体間の位置関係を柔軟に扱える画像検索システム、物体間の関係までを含む複雑な検索意図を自然言語の説明文による問合せとして扱える技術(図1)、画像データベース中の類似画像の分布度合いに基づく高精度かつ高速の画像検索技術等を実現しています。

図1 検索者の意図を柔軟にくみ取れる画像検索システム

 また、その応用として、テレビ放送を蓄積し続けている数年規模のテレビ放送アーカイブNII TV-RECSに基づき、視聴率情報を組み合わせて、視聴率の変化の理由を解明するためのマイニングツールを実現しています(ビデオリサーチ社との共同研究による)(図2)。

図2 放送映像アーカイブと視聴率との統合解析による視聴者行動の理由解析システム

産業応用の可能性

 私たちが保有する高速・高精度画像検索技術は、基本的な技術であり、様々な局面での産業応用に適用可能なのではないかと考えています。例えば、eコマースサイトの画像データベース中の商品検索、放送映像やSNS映像中に現れる特定商品の検索、監視カメラ映像中の特定人物や特定事物の検索等が考えられます。また、放送映像や画像データベースと、企業保有の統計情報(視聴率は端的な例だが、特定商品の売り上げ情報等が考えられる)との関連性解析のような応用も考えられます。

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