クラウド(crowd)とともに

社会課題の解決を図る

相原 健郎

コンテンツ科学研究系

准教授

研究分野

ヒューマンコンピュータインタラクション

クラウドセンシング

スマートシティ

研究背景・目的

 社会課題の解決への情報技術の貢献がますます求められてきています。これまで培われてきた統計学や機械学習などの情報処理技術を活用するためには、社会のさまざまな活動、例えば人や自動車、モノの動きや、人々の興味関心やできごと(コト)など、有形無形を問わず多様な動きや状態をとらえ、それらに技術を適用できるようにする必要があります。これら物理世界からの情報獲得とサイバー空間での分析・活用により、社会課題の解決につながる作用を物理世界にもたらすサイバーフィジカルシステム(CPS)の実現においては、いかに効率的に社会活動を反映する情報を獲得し機械処理可能な形にするかが、クリティカルなポイントとなっています。

研究内容

 社会状況の把握を効率的に実現するために、私はクラウドソーシングを用いた方法論を提案しています。クラウドソーシングは、多くの民衆(クラウド、crowd)の協力を得て、情報の収集や個別の問題解決を実現する考え方で、これを用いたデータ収集という意味で、ここではクラウドセンシングと呼んでいます。具体的には、利用者にとって有用なスマートフォンアプリを開発・提供し、市民の参加・使用を通じて、道路の交通状況や路面状態などのデータを収集したり、公共交通の運行状況を簡便に共有したりできる取り組みをしてきました(図1)。また、それらで収集した行動ログから得られる移動軌跡(トラジェクトリ)の分析法とそのシステムの提案などをしています。

図)クラウドセンシングと収集データの活用

産業応用の可能性

 スマートフォンアプリ(街歩き、観光周遊、ドライブレコーダー、バスロケーションなど)での行動ログ収集の方法論やシステム、また、収集した移動ログの解析処理やそれらに基づく動態分析などの取り組みは、従来のマクロ行動分析ではとらえきれない社会実態の把握に有用であると考えます。実際に、観光庁や自治体などによる観光動態分析や、スマートシティの取り組みなどで活用されています。

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