研究背景・目的
人工知能(AI)で使われるシステムには、人間が持っているような知識が必要となります。例えば、「日本で2番目に人口の多い都市は?」という質問に答えるためには、各都市の人口を知識として持っていなければなりません。また、このような知識があれば、売り上げデータに基づき、次の出店に適した場所を機械学習を使って探す際に、都市の人口データを入れることができ、より精密な意思決定ができます。このように知識は重要な役割を果たすため、テキスト、表、半構造データ、データベースなどから、人工知能システムで広く使われている知識グラフと呼ばれる形式の知識を自動的に生成する技術を研究しています。
研究内容
- オントロジーマッチング技術
知識のリソースとして、Open Linked Dataや表形式のデータなどのさまざまな半構造データを入手することができます。これらの異なる種類のデータの対応関係を取り、知識グラフに統合するためのオントロジーマッチング技術を研究しています。
- テキストからの知識グラフ生成技術
人間の持つ知識を書いたものとして、さまざまなテキスト文書があります。テキスト文書から知識を抽出し、知識グラフを生成する技術を研究しています(図)。
- 知識グラフ補完技術
既存の知識グラフの中には、知識が欠損している部分が存在することがあります。そのような知識を自動的に補完する技術を研究しています。
産業応用の可能性
- チャットボット、質疑応答、検索システム
人間の問い合わせに答える際に、必要な知識を構造化した知識グラフを持つことで、的確な応対ができるようになります。
- ナレッジの構造化
技術文書、規約、マニュアル、データベースなど、さまざまなデータを知識グラフとして構造化することにより、既存の知識を整理し、製品検査、技術伝承などに利用することができます。
- 意思決定支援システム
さまざまなデータを統合した知識グラフを背景知識として利用することにより、機械学習システムの精度を向上させたり、判断の可読性を向上させたりすることができるため、高度な意思決定に用いることができます。