COVID-19診断支援AIの開発に向けたICTプラットフォームの構築をめざす

佐藤 真一

コンテンツ科学研究系

教授

研究分野

画像・映像検索

画像・映像意味解析

AI画像診断

研究背景・目的

 医療ビッグデータ研究センター(RCMB)は4年間の日本医療研究開発機構(AMED)の事業参画を通じ、診療画像に関係する学会と情報系の研究機関と連携して研究チームを組成し、医療画像ビッグデータクラウド基盤の構築とAIによる医療画像解析研究に取り組んできました。一方、COVID-19の流行を背景に、将来の同様の世界的な感染爆発に備えるためにもICTの貢献が求められます。感染拡大を防ぐうえで正確な診断が必要とされているなか、コンピュータ断層撮影(CT)画像によるCOVID-19検査を活かしたCT画像解析の活用は、臨床的に有用と考えられます。私たちは、臨床研究などに利活用可能なAI開発へ向けたICT基盤構築に関する研究を推進しています。

研究内容

 日本医学放射線学会と緊密に連携し、CT画像データを医療画像ビッグデータクラウド基盤に蓄積し、AIに学習させています。AI技術の共同研究開発では、COVID-19肺炎が疑われる患者の胸部CT画像に対して、AIが肺領域の炎症の境界を識別、炎症の程度の分類や典型度を判断することで、医師の画像診断を支援します(図)。

図)COVID-19肺炎CT画像データベースの構築

 画像診断の持つ重症度判定、検査の迅速性、新興感染症の流行検知などの特性から、開発されたAI技術により早期に診断ができれば重症化を防ぐことも可能となります。また、AI技術の有効性を医療関係者と検証する体制を作り、感染症拡大期にあっても迅速に対応可能なプラットフォームとして、社会還元をめざしています。

産業応用の可能性

 医療現場のCT画像撮影装置にAI によるCOVID-19肺炎症状診断支援機能を搭載し、感染者の瞬時の特定、重症度や予後の判定を行うことができれば、医療現場の負担を大きく軽減することができます。加えて、画像情報だけでなく検査値や所見文などの医療情報を収集、統合したAI診断技術の研究開発も、さらなる精度向上のために有用です。そのために、医療機関との協業を行い、医療画像や診療情報などの医療情報を、ICTを活用して全国の病院から一元的に蓄積・活用し、持続可能な診断支援AIの研究開発を加速するプラットフォーム作りをめざします。

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